高齢出産にはリスクがつきもの?母体への負担と胎児への影響を解説!
女性の社会進出や晩婚化によって、高齢出産をする人が多くなってきています。その一方で、高齢出産にともなうリスクが高いこともよく知られており、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。この記事では、高齢出産にはどのようなリスクがあるのか、母体や胎児への影響を踏まえて解説します。
もくじ
何歳から高齢出産になる?
一般的には、35歳を過ぎてからが高齢出産であると言われています。医学用語としては、日本産婦人科医が35歳以上の初産婦を「高齢初産婦」と呼び、それ以下の年齢層とは区別しています。これは、妊娠時、出産時、出産後の母体ならびに胎児への健康上のリスクが、ほかの年齢層に比べ高いためです。より安全に出産をするためには、それらのリスクを理解し、対策を講じることが大切です。
高齢出産による母体への負担と胎児への影響
では、高齢出産によって、母体や胎児にはどのような負担・影響が生じるのでしょうか。主なものとしては、次の3つが挙げられます。
■合併症にかかる確率が高くなる
性別に限らず、年齢が上がるにつれて高血圧や糖尿病のリスクは高まるものです。ただ、母体の場合は、妊娠という負荷がかかることで「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などにかかる確率が高くなります。妊婦高血圧症候群や妊婦糖尿病は、もともと肥満傾向や塩分・糖分などの摂取量が多い食生活を送っている人がかかりやすい傾向にありますが、これまでそれらの病気と縁がなかった人でも発症するリスクがあるので注意が必要です。
■染色体異常の胎児が生まれる確率が高くなる
母体の年齢が上がるにつれて、卵子が劣化し、受精卵になって細胞分裂した際に、染色体異常の胎児が生まれる確率が高くなります。その代表的なものが、ダウン症です。ダウン症は、23対(計46本)ある染色体のうち、21番目の染色体が1本多い染色体異常のことを指します。ダウン症にかかった胎児は、健康時に比べると知能や運動能力の発達の遅れが見られるほか、すべての胎児に認められるわけではありませんが、心臓疾患や、消化器系の疾患などとの合併症を引き起こす可能性があります。
■流産や早産になる確率が高くなる
母体の年齢が高くなるにつれ、流産や早産になる確率が高まります。日本産婦人科学会では、妊娠22週目0日から妊娠36週6日までの出産を「早産」、妊娠22週目未満の出産を「流産」と呼んでいます。早産や流産で生まれた胎児は、生まれる時期が早いほど、呼吸器官などに重篤な障害が発生する確率が高く、最悪の場合、死に至ることも。また、高齢になるほど、妊婦高血圧症や難産道強靭(子宮口が硬く、胎児がなかなか下りてこられないこと)、胎盤早期剥離(出産前に胎盤が子宮の壁からはがれてしまうこと)が発生しやすく、流産や早産をする確率が高くなるので注意が必要です。
高齢出産のリスクを下げる方法
では、高齢出産のリスクを少しでも下げるためには、どうすればよいのでしょうか。基本的な対策としては、次の2つがあります。
■母体の心身の健康状態を良好に保つ
高齢出産のリスクを下げるためには、母体の心身の健康状態を良好に保つことが大切です。バランスのよい食生活を心がけ、塩分や糖分の摂取量を控えることで、「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」にかかるリスクを抑えることができます。また、効果に個人差はありますが、適度な運動ストレスを溜めない生活を送り、卵子にかかるストレスを軽減して、卵子が劣化しないようにすることも大切です。
■妊婦検診を必ず受ける
高齢出産には、さまざまなリスクがともないます。妊婦検診を受け、感染症や子宮の異常、妊娠に伴う合併症(妊娠糖尿病・妊娠高血圧症など)などを早期発見し、治療することが大切です。妊婦検診とは、妊娠期間中に妊婦と胎児の健康状況を確認するための検診のことで、妊娠時期によって検査内容は異なります。検診費用は自己負担となりますが、国や地方自治体の助成制度を活用することで、自己負担額を抑えることができます。積極的に活用しましょう。
年齢に関係なく、せっかく子どもを授かる機会が得られたなら、母子ともに健康な出産を実現したいものです。そのためには、高齢出産にともなうリスクを正しく認識し、それに対する対策を講じることが大切です。記事を参考にしながら、幸せな出産を実現してください。