出生前診断ではわからない障害がある?
最近は出生前診断を受ける人が増えていますし、東京にも診断を受けられる医療機関が多く存在しますが、それを行うことで実際に何がわかるのかよく知らないという人も多いでしょう。
ここでは診断を受けてわかることと、わからないことなどについてわかりやすく紹介します。
出生前診断では一部の異常しかわからない
出生前診断とは「NIPT(母体血胎児染色体検査)」と呼ばれる遺伝学的な検査を出生前に行うことを指します。具体的にどんなことをするのかというと、母体の血液を採取して、その中に含まれる胎児のDNAを検出し、染色体の数に異常がないかどうかを調べるというものです。
対象とされる期間は妊娠10~22週までとされているため、希望する場合はその期間内に診断を受ける必要があるでしょう。そしてこの検査では、ダウン症のことを指す21トリソミー症候群を始め、18トリソミー症候群や13トリソミー症候群などの染色体異常症が対象とされていることが特徴になっています。
ですので、このNIPTと呼ばれる検査では、染色体異常症以外の障害についてはわからないということが言えるでしょう。
診断を受けてもわからない障害とは
出生前診断ではわからない障害としては、視覚や聴覚に関するものや、自閉症などが挙げられるでしょう。そして単一遺伝子疾患や多因子遺伝といった遺伝に関するものや、環境や催奇形因子によるものも対象外になります。
さらに言えば、出産時のトラブルによって起こる脳性麻痺や、出生後に高熱を出すことによって脳にダメージを受けるといったことは、当然のことながら診断ではわからないことです。出生前診断の検出率は90%以上と高い精度を誇っていますが、その診断でわかるのは染色体異常症だけであり、これは胎児に現れる異常の4分の1程度にしか過ぎないと言われています。
それにこの診断は100%の確率で当たるというわけではないため、陰性(異常なし)の診断が出ても、出生後に染色体異常症が確認される場合もあるでしょう。ですので、診断によってあらゆる障害が確認出来るわけではないということと、診断は絶対ではないということをよく知っておく必要があります。
診断を受ける動機や問題点について
そもそも出生前診断をなぜ受けるのかというと、その動機としては、妊娠期間中の妊婦の不安を解消したいからということが挙げられるでしょう。「生まれてくる子供にもし障害があったらどうしよう」ということは、誰でも考えることですし、妊娠中にそのことを不安に思う人も少なくありません。
この診断では染色体異常症という一部の異常しか見つけることが出来ませんが、それでも、異常なしという診断結果を得て安心したいと考える人は多いでしょう。それに、もし異常があるとわかった場合でも、それに備えた対策や、早期の病気治療を行うことが出来るというメリットもあります。
ただし、この診断を受けることによって発生する問題点もあるため、そのこともあらかじめ知っておく必要があるでしょう。その問題点とは、先ほども紹介したように、異常なしとされても、診断ではわからない障害が発生したり、染色体異常症の子供が生まれる可能性を100%否定出来ないということです。
ですので、診断で喜ばしい結果が出たとしても、何らかの異常を抱えた子供が生まれてしまったら、よりショックが大きくなる場合もあるでしょう。そして異常ありとされた場合は、そのまま出産するか、もしくは中絶するかという重い決断が迫られてしまい、そのことが大きなストレスになってしまいます。
妊娠中の過度なストレスは、母体や胎児に悪影響を与えることもあるため、産もうと決断した場合でも、切迫流産や切迫早産の危険性が高まる可能性があるのです。また中絶を選択する場合は、その手術自体にリスクがあり、次の妊娠でトラブルを起こしてしまう可能性もあると言えます。
このように、出生前診断を受ける動機にはもっともな理由があると言えますが、この診断ではわからない障害もあるなどの問題があるということもよく考えた上で受ける必要があると言えるでしょう。
出生前診断でわかるのは、ダウン症のことを指す21トリソミー症候群を始め、18トリソミー症候群や13トリソミー症候群などの染色体異常症です。そして診断してもわからない障害としては、視覚や聴覚に関するものや、自閉症などが挙げられるでしょう。
診断を受ける動機としては、妊娠期間中の妊婦の不安を解消したいからということが挙げられますが、診断ではわからない障害が発生する可能性が100%否定出来ないといった問題点もあると言えます。