母体血清マーカーで何がわかる?検査方法や見つかる先天疾患を解説!
母体血清マーカー検査は出生前診断の一つで、胎児が先天性の染色体疾患を持つ可能性を調べる非確定検査に分類されます。クアトロマーカー検査といえばご存じの方も多いのではないでしょうか。ここでは母体血清マーカー検査によってわかることや、検査方法についてご説明します。出生前検診を検討している方は参考にしてみてください。
母体血清マーカーとは
母体血清マーカー検査とは出生前診断の検査の一つで、妊娠15週から18週の間に受けることができます。母体から採血した血液に含まれる特定の成分を検査することで、お腹の赤ちゃんが先天性の染色体異常や神経管の異常を持っている確率を調べることができます。
3つの血清マーカーを用いるトリプルマーカー検査と4つの血清マーカーを用いるクアトロマーカー検査の2種類があり、現在はより精度の高いクアトロマーカー検査が主流なのでこの呼び名で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この検査は非確定的検査に分類され、疾患を確定する検査ではなく可能性や特性を調べる検査だということも覚えておきましょう。可能性が高いという結果が出た場合には、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を受けることで更に詳しい症状を確定できますが、そうするかどうかはなかなか難しい問題で判断に迷うことです。事前にパートナーと話し合っておくことや専門家に相談することも検討しておくとよいでしょう。
母体血清マーカーの検査方法と流れ
母体血清マーカー検査では妊婦さんから血液を少量採取して血液中の成分を測定し、結果は約2週間後に知ることができます。クアトロテストではこの血液成分4種類の測定値や年齢から、胎児に検査の対象である先天性の疾患があるかどうかを調べ、確立を計算します。検査で測定する4つの成分は妊娠中に胎盤や胎児からつくられるもので、正常な状態でも妊娠が進むと増減しますが、胎児が検査対象の疾患に罹っている場合にも増減します。
また、妊婦さんが高齢になるつれ、胎児に21トリソミーすなわちダウン症や18トリソミーといった染色体の異常が発症する可能性は高くなります。そのため母体の年齢も測定因子に含まれているクアトロテストでは、高年齢の妊婦さんほど検査結果の確率も高くなる傾向があります。そのため35歳前後までの妊婦さんならクアトロテストの結果陰性になることが期待できますが、40歳以上では陽性になりやすいということを想定しておいた方がいいでしょう。
母体血清マーカーでわかること
母体血清マーカー検査で発症の確率がわかる先天性疾患は21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、神経管閉鎖不全症の3種類です。トリソミーとは先天性疾患の内、染色体の数が多いことによる疾患のことで、正常な染色体が2本で一組なのに対し、トリソミーの染色体は3本一組の状態です。人間の細胞には44本の常染色体と2本の性染色体があります。
それぞれの染色体は2本1組で構成され1~22番まで番号が振られていますが、この22組の内の1組が何らかの理由により3本の染色体で構成されているのがトリソミーで、21トリソミーであれば2一番目の染色体が3本ある状態を表しています。また、神経管閉鎖不全症も先天性疾患のひとつです。脳や脊髄といった中枢神経が集まる神経管の一部が塞がらないといった原因により機能が正常に保てなくなる疾患で、妊娠初期に起こります。
まとめ
母体血清マーカー検査は母体にも胎児にも安全な検査で、検査でわかる疾患の種類が少ない分、NIPT(新型出生前診断)に比べて費用も抑えることができます。検査を受けて先天性疾患の可能性を知ることはとてもデリケートな問題であり慎重に判断すべきことなので、パートナーと自力で情報収集したり、場合によってはカウンセラーに相談したりすることで、検査に関するただし理解を得るようにしましょう。