XYY症候群はどのような疾患?持っておきたい正しい知識を伝授!
染色体の異常によって引き起こされる疾患には、様々な種類のものがあります。その中でも、今回は性染色体の数の異常によって発症するXYY症候群という疾患を紹介します。あまり聞いたことがないという人もいると思いますが、原因や治療法に関して詳しく解説していくので参考にしてください。
XYY症候群(ヤコブ症候群)とは
XYY症候群はヤコブ症候群とも呼ばれ、通常XXまたはXYであるはずの性染色体がXXYになってしまう疾患のことです。性染色体にYを有していることから、男児にのみ発症します。産まれる割合は約1,000人に1人であり、先天性疾患であるため成長過程でXXY症候群になるのではなく、産まれた時からXXY症候群ということになります。
どのような特徴がある?
XXY症候群の男性は、身長が平均より高くなる傾向があります。また、二次性徴も起こり性染色体異常による疾患に多い不妊の症状も起こりません。性的発達は順調に進み、子供も問題なく作れるケースが一般的です。そして、子供に遺伝する疾患ではないためその点の心配はありません。このように発育面から見ると普通の男性と大きな違いはなく、XXY症候群だと気付かれないパターンもあるのです。
ただ、起こりうるものとして学習障害や言語・感情面の発育遅延、多動性障害や自閉症に通ずる症状が出るといったことがあげられます。IQなどの知能面がXXY症候群ではない人と比べて、10ほど低くなってしまうこともあります。これらの症状は全てのXXY症候群に当てはまるわけではなく、軽度で問題なく日常生活を送れる人もいれば、家族や周囲のサポートを必要とすることもあります。
XYY症候群の原因
XYY症候群は、性染色体であるYを通常の男性より1つ多く持っています。本来、父親からXまたはY、母親からXを受け継ぎ、その組み合わせによって性別が決まります。ただ、何らかのエラーが起こり細胞分裂の不分離が起こってしまうと、Y染色体を多く有する細胞が生まれてしまうのです。この不分離がなぜ起こるのか、はっきりしたことは残念ながら未だ解明されていません。健康面に全く問題のない男女から産まれた男児でも、XXY症候群を発症していることがあるのです。
XYY症候群の検査方法と治療法
XXY症候群は遺伝子検査を行うことで判明しますが、産まれる前に検査することもできます。それが出生前診断です。特に精度が高いと言われている新型出生前診断(NIPT)のなかには、XYY症候群が検査結果の対象になっているものもあるため、事前に確認しておきましょう。
ただ、出生前診断はあくまで非確定検査になります。陽性になると「疾患の可能性がある」という扱いになり、さらに確定診断に進んでいきます。出生前診断で陽性だからといって、産まれてくる子供が必ず疾患を抱えているわけではありません。勘違いしないよう正しい知識をもって検査に臨んでください。
どのように治療していくのか
染色体を入れ替えることは不可能であるため、根本的な治療法は見つかっていません。子供が問題なく成長していけるよう、対症療法によって適切なケア・サポートをしていくことが重要です。言語や感情面の発育に遅延がある場合、療育に通うという方法があります。
専門家が用意したプログラムをこなすことで、子供の発達を促していくのです。親や家族、友達と関わりをたくさんもたせることで成長のきっかけにしたり、子供が集中しやすい環境をつくったりすることで、ほかの子供と同じように成長していける可能性は十分考えられます。必要に応じてホルモン注射など薬物治療が採用されることも。子供の個性・特性を見極めて、適切な治療を選択しましょう。
まとめ
XYY症候群について説明しました。染色体の数が通常より1本多いことで、様々な症状を引き起こすことがあります。ただ、適切にケア・サポートすることで、大人になってからも問題なく日常生活を送れることに繋がります。疾患に関する正しい知識を身に着け、理解を深めて接することが重要です。そうすることで、XYY症候群の子供も日常生活に支障をきたさず生活することができるようになります。