先天性疾患とは？生まれついた病気の原因や種類について解説！

新しく生まれた100人の赤ちゃんのうち、3人～5人ほどは先天性疾患を持っているといわれています。もし出生前診断などで、生まれてくる赤ちゃんに疾患があるとわかったら、多くの人は不安を感じてしまうでしょう。そもそも先天性疾患とは、どのようなものなのでしょうか？今回は先天性疾患について、病気の原因や主な種類について解説します。

先天性疾患とは

先天性疾患とは生まれつきある疾患のことを指します。赤ちゃんの身体のどこかに疾患や障害があり、中でも心臓の先天性疾患はもっとも発生頻度が高いといわれているものです。世界に目を向けると、毎年30万人近い赤ちゃんが生後28日以内に先天性疾患によって命を落としています。

もちろん、疾患があったからといって、必ずしも生命に関わるものではありません。手術で治ったり、薬によって病状をコントロールできたりするものもあるでしょう。多くの疾患は生まれた直後や生後1年以内に、乳幼児検診などで明らかとなります。

先天性疾患の原因

先天性疾患の原因の多くは、いまのところ明らかになっていません。しかし、大きく次の5つに分けることができるでしょう。

染色体の変化

先天性疾患を持つ患者の約25％が、染色体の変化が原因といわれています。受精のときに起きるもので、ダウン症候群（21トリソミー）が代表的な疾患です。染色体変化によるいくつかの疾患は、出生前診断でわかります。

遺伝

遺伝は先天性疾患を持つ患者の約20％を占める原因といわれており、染色体の変化と同じように、受精の際に生じます。変化がある親の遺伝子が赤ちゃんに受け継がれるケースもあれば、赤ちゃんに遺伝子の変異が起こるケースもあるでしょう。そのため、両親に異常がないからといって、赤ちゃんに遺伝による先天性疾患が起きないとは限りません。

感染症

妊娠中に母親が風疹や水疱瘡、梅毒、ヘルペスといった感染症に罹患すると、先天性疾患が起きる可能性があります。一部の感染症は、ワクチンによって予防可能です。

タバコやアルコールといった有害物質

感染症と同じように、妊娠中に母親がタバコやアルコール、薬剤、放射線といった有害物質を長期間に渡って身体に取り込んだ場合、先天性疾患の発生要因となるでしょう。

栄養不足

最後の原因は栄養不足です。栄養が充分に赤ちゃんへ行き届かないと、発生リスクが高まります。とくに葉酸は重要な栄養素のひとつです。

先天性疾患の種類

先天性疾患でとくに知られているのが、ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群の3つです。

ダウン症候群

22対44本ある染色体のうち、2一番目の染色体が通常よりも1本多いことがダウン症候群の原因です。心疾患や消化管奇形のほか、発達に障害が生じることもあるでしょう。ただし、個人差があり、治療や福祉的なサポートが欠かせない人もいれば、日常生活を比較的スムーズに送れる人もいます。妊婦の年齢が高くなればなるほど、ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる可能性も高まります。

エドワーズ症候群

エドワーズ症候群は18番目の染色体が、通常よりも1本多いことが原因です。心疾患や口唇口蓋裂、発達障害のほか、50％は生後1か月以内、90％は1年以内に死亡するなど、早期に亡くなってしまうケースが少なくありません。

パトウ症候群

13番目の染色体が1本多いことが、パトウ症候群の原因です。80％以上に心血管系の障害が確認され、さらに鼻中隔欠損や単眼、発達障害などがあるケースも見られます。また、90％の赤ちゃんは、生まれてくる前に死産するのも特徴です。

まとめ

先天性疾患とは染色体や遺伝、感染症などが原因となって、生まれつきある疾患のことを指します。疾患の種類や特徴、治療法などはそれぞれ異なるため、先天性疾患があることがわかったら、できるだけ早く専門医に相談することが大切です。一部の疾患は出生前診断で、事前にわかることもあるでしょう。診断にもいくつかの種類があるので、違いをよく理解した上で受けるかどうかを決めるようにしてください。