聞き慣れないクラインフェルター症候群とは?特徴や原因などを解説
染色体異常によって発症する疾患には、様々なものがあります。ダウン症候群や13トリソミー、18トリソミー、ターナー症候群などのほかに、クラインフェルター症候群というものがあるのをご存じですが?あまり聞き慣れない疾患ではありますが、今回はクラインフェルター症候群の特徴や原因、治療法について紹介していきます。
クラインフェルター症候群とは
クラインフェルター症候群は性染色体の数の異常によって発症する先天性疾患です。通常、男性はXY、女性はXXという性染色体を有していますが、クラインフェルター症候群は性染色体がXXYと3本あり、染色体の数は合計で47本になります。性染色体にYがあるため男性に起こる疾患であり、約500人に1人の割合で発生することから決して珍しい訳ではありません。
よりXの数が増えてしまうことも
クラインフェルター症候群は性染色体がXXYの男性のことを指しますが、XXXYなどXが2つ以上ある場合は、全てクラインフェルター症候群に該当します。Xの数が多くなればなるほど症状が重くなる傾向があります。
クラインフェルター症候群の原因と症状
クラインフェルター症候群はXの数が多い疾患ですが、なぜXの数が多くなってしまうのでしょうか。一説では加齢により性染色体の不分離や、受精卵の細胞分裂の不具合などが原因だと言われています。親が高齢であればあるほど、クラインフェルター症候群が発症しやすくなる傾向があります。
どのような症状が見られるのか
クラインフェルター症候群の男性は、一般の男性と比べ背が高くなり、その分手足も長くなることが多いです。ただ、男性ホルモンが不足することからいわゆる男らしい体型にはなりません。また、精巣の発育不良により男性ホルモンの量がどんどん少なくなってしまい、髭が薄くなることもあります。二次成長が見込めないケースもあり、不妊の原因になってしまいます。
Xが多いことからやや女性的な体つきになることもあり、さらに骨粗鬆症や筋力低下など女性によく見られる症状が表れます。知能面は正常か、やや低い程度ですが、言語や感情の発育がやや遅れるケースも。ただ、これらすべての症状がクラインフェルター症候群の男性に当てはまるというわけではなく、ほかの男性とほぼ変わらない生活を送れる人もいるのです。反対に、重篤な症状が出てしまい回りのサポートが必要不可欠になることもあるため、症状に合わせた対応をとることが大切です。
クラインフェルター症候群の検査方法と治療法
クラインフェルター症候群は、産まれる前に出生前診断で判明します。とくに、近年注目されている新型出生前診断はダウン症候群などの疾患の可能性も併せて検査できるため、産まれてくる子供のことをいち早く知りたい人は検討してみてください。ただ、出生前診断はあくまで非確定診断であり、可能性の有無を調べる検査になります。誤った判断をしないよう、正しい知識を持って臨みましょう。
どのように治療するのか
クラインフェルター症候群の男性は、男性ホルモンの1種であるテストステロンが不足してしまいます。そのため、注射によってテストステロンを補充して筋肉や骨の発育を促していくのです。また、知能面や学習面にやや発達遅延が見られる場合、療育と呼ばれる発育支援を受けます。
将来的に困らないよう、早い段階で治療して発育面に力を注いでいきましょう。また、かつてクラインフェルター症候群の男性は子供をつくることが難しいと言われていましたが、医療の発達により不妊治療を受けて子供を持てる割合が高まってきています。何事も諦めず前向きに取り組み、周りの人と支え合っていくことで通常の男性と変わらない生活を送ることに繋がります。
まとめ
クラインフェルター症候群の特徴や治療法について説明しました。男性らしい体つきになれないことから、思春期は特に悩みを抱えることが多くなってしまうでしょう。ただ、現在は適切な治療を受けることで周囲にクラインフェルター症候群ということを知られずに生活することが可能です。そのためには、親が疾患のことを理解してしっかりサポートしてください。