パトウ症候群って何?新型出生前診断でわかる胎児の染色体数異常とは
出産前にお腹の中にいる赤ちゃんに異常がないかどうかわかるのが、出生前診断です。早い段階から周産期管理ができる意味があると知られています。そして、出生前診断でわかるもののひとつが、パトウ症候群です。染色体異常のひとつですが、どのような疾患なのでしょうか?今回はパトウ症候群の特徴や主な症状、検査方法について解説します。
パトウ症候群とは
冒頭でも述べたように、パトウ症候群は染色体異常による疾患のひとつ。ほかにダウン症候群やエドワーズ症候群などがあります。13トリソミーとも呼ばれており、通常は2対ずつある23本の染色体のうち、第13番目の染色体が3本ある、または一部が重複していまっているのが原因です。新しく生まれてくる赤ちゃんのうち、5,000人~1万2,000人に1人の割合で発生するといわれています。
しかし、約80%の赤ちゃんは後述するような病状が重いことから、生後1か月以内に亡くなってしまいます。そして1年以上の生存率は10%未満と、非常に低い数値です。染色体異常が発生するリスクのひとつが、高齢による出産です。とくに母親が35歳以上で出産すると、パトウ症候群が表れる可能性が高くなることがわかっています。卵子が高齢化することで、染色体が正常に分裂しないことが原因です。
パトウ症候群の症状
パトウ症候群の赤ちゃんには、身体的な障害や知的な障害のほか、先天性の疾患や合併症などを持っているケースが少なくありません。主なものは次の通りです。
身体的な特徴や障害
・口唇裂や口蓋裂
・難聴
・小さい目、単眼
・瞳孔が欠けている
・網膜の未発達
・耳の奇形
・小頭症
・頭皮欠損
・手足の指の数が多い
・凸状に隆起した狭い爪
・かかとの突出
先天性の疾患や合併症
・心室中隔欠損
・動脈管開存
・心房中隔欠損
・けいれん
・無呼吸発作
・咽頭・気管軟化症
・甲状腺機能低下症
上記で挙げたものは一例に過ぎません。また、実際にどのような症状がどの程度表れるかは、赤ちゃんによって異なります。ただし、顔や足の特徴、重度の知的障害、心臓疾患、難聴などはよく起こるといわれています。生後1年以上生存した赤ちゃんの成長スピードはゆっくりです。疾患がない子どもと比べて、周りの手厚いサポートも欠かせません。しかし、周りの声かけに反応して笑顔を見せるなど、愛嬌がある子どももたくさんいます。
パトウ症候群の検査方法
パトウ症候群かどうかを知るためには、いくつかの検査方法があります。出生前に行われる検査は、主に超音波検査(エコー検査)と出生前検査の2種類です。出生前検査はさらに、非確定的検査と確定的検査の2つに分けられます。
超音波検査(エコー検査)
お腹の表面に超音波を当てて、内臓から反響したものを画像化する検査を指します。通常の赤ちゃんよりも体が小さかったり、羊水量が通常よりも多かったり、心臓に奇形があったりする場合、パトウ症候群が疑われるでしょう。
非確定的検査
非確定的検査は出生前検査のひとつです。主に次の3種類の検査方法があります。
・母体血清マーカー検査
・コンバインド検査
・新型出生前診断(NIPT)
もっとも検査精度が高いのが、新型出生前診断(NIPT)です。20万円ほどの費用が必要ですが、妊娠10週目から実施できるのは、大きな魅力といえるでしょう。ただし、どの検査方法も確定診断ではないため、診断確定には後述する確定的検査が必要です。
確定的検査
確定的検査には絨毛検査と羊水検査の2種類があります。確定診断を得られるものの、流産や破水、出血、子宮内出血、早産といった合併症のリスクがあることを理解しておきましょう。
まとめ
パトウ症候群は13トリソミーとも呼ばれており、第13番目の染色体に異常があることが原因です。1年以上の生存率は10%未満と低く、また、身体障害や知的障害、さまざまな先天性疾患・合併症があることでも知られています。超音波検査で異常が見つかった場合、出生前検査を受けることが可能です。早期発見によって、生まれてからの適切な対処や治療が期待できるでしょう。