出生前診断の検査精度とは?年齢によって変わるって本当?
妊娠中のお腹の赤ちゃんに、先天性の疾患ないかどうかを知るのに役立つのが、出世前診断です。しかし、検査の種類によって精度が異なり、たとえば結果が陽性だったにもかかわらず、実際には異常がなかったケースも存在します。今回は出生全診断の検査制度について、精度を示す4つの指標、精度は年齢によって変わるのかどうかについて解説します。
出生前診断の検査精度とは
冒頭で述べたように、出生前診断の精度は検査の種類によって異なります。検査は大きく「非確定的検査」と確「定的検査」の2種類に分けられ、非確定的検査は赤ちゃんが疾患を持っている可能性を知るために、確定的検査は診断のために行われるものです。
さらに非確定的検査は「母体血清マーカー検査」と「コンバインド検査」「新型出生前診断(NIPT)」に、確定的検査は「絨毛検査」と「羊水検査」に分けられます。それぞれの感度は次のようになっています。
・母体血清マーカー検査83%
・コンバインド検査80%
・新型出生前診断(NIPT)99%
・絨毛検査100%
・羊水検査100%
感度については後述しますが、精度を構成する指標のひとつです。
出生前診断の検査精度を示す4つの指標
出生前診断の検査制度は、全部で4つの指標から構成されています。感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率です。それぞれの詳細を以下で見ていきましょう。
感度
感度とは特定の疾患を持っている人が、その疾患に関する検査を受けたときに、陽性を示す確率のことです。たとえば、感度が80%の検査では、疾患を持つ10人中2人が陰性を示します。病気があるにもかかわらず陰性を示すことを偽陰性、反対に、病気がないにもかかわらず陽性になることを偽陽性と呼びます。感度が高ければ高いほど、偽陰性を示す可能性が低くなるため「感度の高い検査=精度が高い検査」といえるでしょう。
特異度
特異度は感度の反対で、特定の疾患を持っていない人がその疾患に関する検査を受けたときに、陰性を示す確率のことです。たとえば、特異度が70%の検査では、疾患を持っていない10人中3人が、陽性を示します。つまり、偽陽性です。特異度が高ければ高いほど、偽陽性を示す確率が下がります。
陽性的中率
3つ目は陽性的中率です。検査の結果、陽性となった人たちの中で、どの位の割合で本当の陽性者がいるかどうかを示しています。母体血清マーカー検査とコンバインド検査の感度は80%近くあるものの、偽陽性率が5%以上あるため、陽性的中率は高くありません。
陰性的中率
陰性的中率は検査の結果、陰性となった人たちの中で、どの位の割合で本当の陰性者がいるかどうかを示したものです。
出生前診断の検査精度は年齢によって変わる
出生前診断の中でも高い感度を持っているのが、新型出生前診断(NIPT)です。妊婦の血液中に含まれているDNAを調べる検査で、染色体異常による疾患のリスク判定を行えます。NIPTの検査制度は、年齢によって変わるので注意しましょう。たとえば、染色体異常のひとつ、ダウン症候群の有病率は、母親が20歳の場合は2,000人に1人ほど。
しかし、母親が40歳の場合は100人に1人ほどと、一気に高まります。つまり、母親の年齢が高くなればなるほど、陽性的中率も上昇するということです。検査精度が高いことから人気があるものの、あくまでも非確定的検査のため、確定診断が必要な場合は確定的検査を利用しましょう。
まとめ
出生前診断の検査精度は、検査の種類によって異なります。確定的検査は感度100%ですが、非確定的検査は100%ではありません。感度や特異度、陽性的中率、陰性的中率の4つの指標から、総合的に精度を見極めることが大切です。それぞれの指標が示す内容を理解した上で、もし非確定的検査の結果が陽性だった場合は、必要に応じて医師や認定遺伝カウンセラーといった専門職へ相談しましょう。