国の指定難病「4p欠失症候群」とは?症状や治療法をご紹介!
原因が分からず治療法が確立されていない難病の中でも、患者の数が国内の人口の0.1%未満で、客観的な診断基準がある病気は、国の指定難病に認定されており、現在では338種類あります。そのうちのひとつに4p欠失症候群がありますが、原因や症状、治療方法にはどのようなものがあるのかを詳しく紹介します。
4p欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)とは
4p欠失症候群はウォルフ・ヒルシュホーン症候群とも呼ばれ、染色体の一部の遺伝子が欠失していることが原因で発症する病気で1961年に初めて報告されました。人の体を構成している細胞の中に染色体があり、さらにその中には人体の設計図的な役割を果たすDNAが入っています。
染色体には常染色体と呼ばれる個人の顔や体の特徴を決める情報が入った22対の染色体と、性別を決定する1対の性染色体があり23対46本の染色体で構成されています。染色体の中の常染色体の中に4番染色体があり、その一部分が失われているのです。突然変異として発症することが多い病気ですが、一部の人は両親からの遺伝として発症することもあります。
ただし、この難病は通常の検査で見つけることは難しいため高度な検査が必要です。この病気にかかっている人としては男女比として1対2で女性の方が多く、発症の確率はおおよそ5万人に1人といわれ、国内の患者数も1,000人以下となっていますが、症状が軽い場合は見過ごされる可能性もあるため、もう少し多いともいわれています。
4p欠失症候群の症状や合併症
同じ4p欠失症候群の病気の中でも、染色体が欠けている範囲によって症状が異なるため、発症する症状もいろいろです。症状の中でももっとも特徴的なのが顔立ちで、幅広い鼻の根元や突出した額、弓状の眉毛、広い左と右の眼の間隔、短い鼻と上唇の間の人中、下を向いた口などがあり「ギリシャ兵士のヘルメット様」と表現されることもあります。これらの症状は小さい頃には目立ちますが、次第に軽度になり目立たなくなっていくでしょう。脳の発達が不完全のために頭が小さい症状がでる小頭症や上唇に裂け目がある口唇裂、上あごに裂け目がある口蓋裂があります。
また軽い知的障害から重いものまで症状もさまざまです、ほかの知的障害を持つ人と比べてコミュニケーション能力は低めですが、社会性スキルは高いという特徴もあります。そのほかにも、筋緊張低下やてんかん、接食障害の症状をはじめ、難聴、先天性心疾患や難聴、睡眠障害などの疾患などがあり、免疫機能の異常もあるため、感染症を繰り返すことも多いでしょう。
4p欠失症候群の主な治療方法
4p欠失症候群は根本的な治療方法はありませんが、いろいろな症状がでるため、それぞれに応じた治療を行うことが必要となってきます。そのため、起こりやすい症状に合わせた早期診断や適切な治療が必要となってくるでしょう。たとえば、てんかんには抗てんかん薬、けいれんにはバルプロ酸の投与、摂食障害には接触訓練、発達遅延には療育的支援、合併症には医療機関が推奨する治療やケアを行うなど、症状を軽度にするために、適切な治療を適宜行うことが大切になってきます。
まとめ
以上、国の指定難病にも認定されている4p欠失症候群について紹介しました。4p欠失症候群は染色体の一部が失われている染色体異常が原因でおきる難病で、5万人に1人の確立で発症していますが、まだ完全に症状を完治させる治療方法は確立されていません。身体的な特徴は成長するにつれて目立たなくなる部分もありますが、そのほかの症状に関しては、いろいろな症状がおこり、合併症のリスクもあります。そのため、症状ごとにあった治療を施し、症状を軽度にしていく方法がとられています。