新型出生前診断を受けるのに年齢は関係あるの?
検査によっては年齢制限が設けられている場合や、その年齢以上の人にしか推奨されない場合などもあります。では、現在注目されている新型出生前診断に関しては、年齢制限があるのでしょうか、それとも全く関係ないのでしょうか。
もくじ
初婚の年齢は年々上昇傾向にある
いつか結婚して子どもを出産するというライフプランを漠然と描いている人は多いでしょう。しかしながら、現在は、このいつか…というのが年々上昇傾向にあるのです。結婚をする年齢、つまり初婚年齢は、昔に比べ晩婚化が進んでいます。
自分のやりたいことをやる、任されたことは責任を持ってやるといった仕事に対する誠実さやプライドもあることから、ある程度仕事ができるようになってから結婚を考えたいとする女性も少なくないのです。
そのためいつか結婚をするということが、現実には、仕事が落ち着いたら、仕事ができるようになったら、自分が満足したらという風に考えが決まってきて、それから結婚を考え始める人も少なくないのです。
初婚年齢が上がると出産年齢も上昇する
初婚年齢が上がると、必然的に出産年齢も上昇します。結婚しても夫婦二人の生活を楽しみたいとする人や子どもを持つことに焦りを感じない人もいます。
それは個人の自由なのでいつ出産してかまわないのですが、一つ注意したいことは、出産する年齢が上がるほどリスクが大きくなるということなのです。このリスクというのは、染色体異常のことを示しています。
現在は妊娠をしてから出産をするまでに、さまざまな赤ちゃんに関する検査を受けることができます。通常エコーで赤ちゃんの様子を観察したり、赤ちゃんの心拍数を測り元気な度合いをチェックするということはよくあります。
検査を希望する人は年々増えている
新型出生前診断は、2013年に始まりましたが、実はその後検査を希望する人はどんどん増えている状態だというのをご存知ですか。もちろん検査を受けることができる施設自体は限られているので、どこでも検査してもらえるというわけではありません。
しかし妊娠・出産に関するリススク、さらにそのための準備などの目的から検査を受ける人は増えています。また、徐々にその検査条件も緩和されており、研修を受けたことがある産婦人科医がいる分娩施設であれば検査可能という案も出ています。つまり、今後は東京など人が多くいる場所だけでなく、郊外などでもその検査を受けやすくなっていく可能性があるというわけです。
では、実際に検査を希望する人が多く、東京でも検査をおこなっている病院も増えている新型出生前診断ですが、一体どのような検査をするものなのでしょうか。以前から出生前診断はおこなわれていましたが、この新型出生前診断は、その中でも最も新しいものとなっています。
検査は非常に簡単で、妊婦から採血した血液を利用し、その中に含まれているホルモンの濃度を調べて3種類の染色体異常を調べることができます。他の方法でももちろん染色体異常を調べることは可能ですが、精度の高さでいったら新型出生前診断がピカイチだということになります。
条件に当てはまる人だけが検査可能
妊婦にとって、お腹の赤ちゃんがどのような状態になっているかというのは非常に気になるということもあるでしょう。ただ新型出生前診断自体は誰でも受けることができるわけではなく、実際には定められている4つの条件を満たしている人だけが受けられるものというのをご存知ですか。
一つは出産予定日の時点で35歳以上になっている人、そしてもう一つは他の出生診断を受けて、赤ちゃんに染色体異常があることを指摘された人などです。また以前染色体異常の赤ちゃんを妊娠したことがある人や、染色体異常があり、赤ちゃんがダウン症の可能性がある人もこの検査の条件となっています。
私たちの体は成人してから年々老化に向かっています。もちろん目に見えるほど加速しているわけではありません。しかしホルモンや内臓の機能といったものは少しずつ衰えていっているのです。
そのため私たちが子どもを持ちたいと思ったときには、すでに卵巣や子宮、そしてホルモンなどが衰え始めている場合もあるのです。そんな私たちの体を考えると、年齢を増すごとに赤ちゃんを産むリスクというのは高まるのです。
そして35歳を超えると、赤ちゃんの染色体異常のリスクも一気に高まるとされています。そこでおこなわれるのが新型出生前診断なのです。
これは赤ちゃんに起こりうる主に3つの染色体異常についてのスクリーニング検査です。これで出た結果というのが必ずそうであるというわけではありません。スクリーニングというのですから、その可能性を示しただけのものなのです。
ただ、35歳を超えるとそのリスクが高まるということから、この検査を受けて少しでも可能性があることを知りたいという女性は増加傾向にあります。結果はどうであれ、もしもその可能性があるなら、少しでも準備をしておきたい、受け入れる心構えをしておきたいという動機から、検査を受ける女性もいるのです。
妊娠自体は生理があり排卵があればその可能性は十分にありますが、実は35歳を過ぎると染色体異常の可能性が高くなります。また、遺伝的な要因とかもあり、リスクを抱えている状態での妊娠の場合は検査の対象となるわけです。
だから、この場合は日本医師会が認定した施設で検査を受けることができるようになっており、その後の検査結果によっていろいろと対応していくことになります。
35歳未満の人はどうすべきなのだろうか
基本的に新型出生前診断に関しては、年齢制限自体は35歳以上ということになっているので、その年齢を超えた妊娠の場合は病院側からその話がされるということになります。しかし35歳以上だから気をつけなければならない、それ未満の年齢であれば何も心配する必要はないということでもありません。
とはいえ、一応35歳以上という年齢制限が設けられているので、それ未満の人は検査を希望しても受けることはできないと思われてしまうことも多々あります。しかし実は血液採取をするだけなので、母体に対する負担は最小限になっているし、何より採血は妊婦検診の際に普通におこなわれています。だから、この検査自体は年齢制限があるわけではなく、実は何歳の人でも受けることは可能となっています。
しかし条件を満たしていない人が検査を受ける場合は、日本医師会が認定した施設ではない認可外の施設で診断を受けることになるというのを理解しておきましょう。また、認可外だからといって不安に思う必要は全くなく、ただそこでの担当医師が日本医師会に加入していないだけなのもご存知ですか。もちろん合法な施設なので、ここで診断を受けたからと言って何か不都合があるということもありません。
新型出生前診断は血液を用いておこなう検査ですが、出産予定日の時点で35歳を超えている人や、出生前診断を受けて染色体異常の可能性を指摘された人などが対象です。しかし条件を満たしていない人も診断を受けることができるようになっており、年齢制限を気にすることなく調べてもらえます。
ただ35歳以上であれば日本医師会が認定した施設を利用できますが、35歳未満の場合は認可外の施設での診断となります。ただ違法な施設ではなく、ただ単にそこにいる担当医が日本医師会に加入していないだけなので、安心して検査を受けることは可能です。
Serenityと呼ばれるNIPTであれば年齢制限なし
一般的なNIPTの場合は先述の通り35歳以上しか受診できませんが、「Serenity」という出生前診断であれば年齢を問わず受診できます。出生前診断の権威であるイギリスにて正式に認められている、クーパーゲノミクス社による検査方法です。現在日本で行われている一般的なNIPTでは、年齢が上の方が精度が高くなる傾向にありますが、このSerenityであれば陽性的中率の低さをカバーできます。
一般的な方法で検査を行った場合30歳では60%前後だったのが約72%に、35歳の場合は80%だったのが約87%まで的中率が向上するという結果が出ています。ちなみに40歳の方が一般の検査を受けた場合陽性的中率は93%だったのが、Serenityの場合は約96%です。この数値から、非常に高い精度であることが分かるでしょう。
Serenityの検査を受ける条件としては妊娠10週以上であるということだけで、年齢の制限を受けることなく受診が可能です。ただ、普通の診断もSerenityに関しても人工中絶の期限については共通しており、母体の安全期限が12週未満であること、法的期限が22週未満であることはよく覚えておきましょう。
新型出生前診断は、少しずつ知られるようになってきました。ただすべての妊婦さんが受けることができるというわけではなく、出産予定日の時点で35歳以上の妊婦さんが受けることができるという基準があります。もちろんそれ以外の年齢でも、別の検査で精査が必要とされた場合は受けることも可能になるでしょう。
ただ年齢が上昇することによるリスクや背景があるということや年齢による制限があるということは理解しておくことが重要です。