アメリカと日本の出生前診断の違い
従来、赤ちゃんが生まれてくるまでは先天性の異常や疾患を見つけることはできませんでした。しかし現在は、出生前診断を行うことで特定の病気になる可能性を知ることができるようになっています。東京では出生前診断を受ける妊婦さんが徐々に増えてきているようですが、アメリカやイギリスと比較するとまだまだ数は少ないようです。
出生前診断では何がわかるのか?
出生前診断とは、母体から血液を採血し、それを遺伝子レベルで分析することによって、妊娠中の胎児に染色体の異常がないか調べるもので、アメリカでは2011年に出生前診断が開始されましたが、日本では2018年3月より一般診療化されています。
従来行われていた母体血清マーカーテストなどの検査に比べて検査精度が非常に高いことから、新型出生前診断(NIPT)と区別されることもあります。妊娠10週以降に受けるのが一般的で、この出生前診断で分かる主な染色体異常は、「21トリソミー(ダウン症候群)」「18トリソミー(エドワーズ症候群)」「13トリソミー(パトー症候群)」です。
ただ、染色体異常の疑いがあることが分かった場合でも、それで病気が確定したわけではありません。あくまでもこれはスクリーニング検査なので、もし陽生結果が出た場合は羊水検査といった確定診断を受けることになります。なお費用については日本の場合は全額自己負担となりますが、アメリカでは保険が適用されるケースもあるようです。
日本とアメリカとの普及率の違いについて
日本で出生前診断を受ける妊婦さんの割合は2%程度にとどまっています。これに対してアメリカでは約60%の妊婦さんが受けています。イギリスでも2004年よりすべての妊婦さんが出生前診断を受けることができるようになっているようです。
日本に比べてアメリカで多くの妊婦さんに出生前診断が普及している理由は、がんの告知などと同様に真実を知りたい、そしてその結果に対していち早く対応したいと考える人が多いからでしょう。また陰性結果が出たなら妊娠期間中安心して暮らすことができます。不安を抱えたままいるよりもよいと考える人の割合が日本より多いといえます。
それと共に母体や胎児へのリスクがほとんどない安全な検査であるということも大きいようです。検査にリスクがともなうのであれば、ここまで普及することはなかったかもしれません。確定検査である羊水検査は流産や感染症のリスクがあるのですが、出生検査では血液検査だけなのでそのようなリスクもなく気軽に検査を行うことができます。
東京で出生前診断ができるのは?
実勢に、東京で出生前検査を行うと思った場合、どこで受けることができるのでしょうか。出生前検査を行っているのはクリニックと一般の検査機関の2つがあります。ただし、東京にあるクリニックで出生前検査を行っているクリニックは、今後増えていくことが予想されますが、現段階ではそれほど多くはありません。
検査の種類は基本検査の他に、オプションとして性染色体検査や微小欠失検査、1~22番のすべての常染色体の検査などが用意されており、その中から選ぶことができるようになっているのが一般的です。費用は検査項目が増えるごとに高くなる他、クリニックや検査機関によってもかなり異なります。
クリニックの場合は15万円~23万円前後が相場となっており、一般の検査機関のほうがクリニックよりも安い傾向があります。しかし、クリニックで陽性が出た場合には、羊水検査にすぐに移行できるメリットがあり、その羊水検査の費用が無料のところもあります。
胎児が健やかに育っているかどうか、妊婦さんは心配になるものです。2018年より日本でも染色体の異常の有無を調べる出生前検査ができるようになりました。約60%の普及率のアメリカと比べると日本はまだ2%程度ですが、今後増えていくことが考えられます。